京都でかまくらの演出とは少々違和感を感じるかもしれません。
しかし、季節感を取り入れる京料理においては、このかまくらは冬の印象を与える良い素材でもあり、和泉屋旅館ではかまくらをお造りの器として取り扱います。
1月、2月と続けてお造りがお勧めの一品として取り上げられておりますが、
それは海産物が特に冬場召し上がっていただきたいほど旨味を持つためです。
さて氷で作られたかまくらの中には、
冬、旬の甘みが乗った甘海老、鮪、そして冬に旬を向え様々な料理に利用される寒ぶり。
主に富山近海で獲られた鰤は寒流の潮の流れによって非常にぷりぷりと脂が乗り、
内地である京都でも上質なものを召し上がっていただけます。
春を目前にした海の旬をどうぞ召し上がりください。
正月を意識しまして、
松竹梅を様々なもので取り入れ、めでたい一品をご用意しました。
松は鯛。鯛の表面を松笠に見立て、人参と大根で立てた「けん」は竹、
そして梅の花と見た目にも華やかな造りをご用意いたしております。
正月の遊び、羽子板を山芋で表現し上には雲丹と羽根が盛られ、
烏賊で十二単を作り王朝の雅を加味。
冬の鮪はらみにもっとも脂が乗った鮪脂身も濃厚な風味が
造り全体の締めに合うアクセントを与えています。
冬場は海の幸は脂が乗り旨味が増す季節でございます。
召し上がっていただく会席の中でもお造りは全体の流れの中心に位置するため、
旨味の増すお刺身は、和泉屋旅館では冬の一品としてピックアップいたしました。
冬、旬を迎える京野菜の聖護院蕪はまさに冬の京料理の大切な食材の一つです。
12月はその聖護院蕪を使ったひとしなをご用意しました。
冬の代表的な食材松葉蟹と、おろし金でおろした聖護院蕪を雪に見立て自家製の出汁にて、小鍋で召し上がっていただきます。
出汁と蕪の甘み、そして蟹の旨味が混ざりほんのりと柚子の風味が効いた1人鍋は身体をじんわりと温め、冬の食材を京料理らしい季節感で演出した一品でございます。
紅葉、銀杏、松葉の落葉を其々人参、南瓜、絹さやで作り、
吹き寄せにして秋から冬へと京都の季節が移ろう様と秋を名残惜しむ気持ちを表現した一品です。
寒くなっていく季節ですので温かい蒸し物をと、甘鯛を蕪で包み蟹身の餡で召し上がっていただきます。